エルビン! part1 Dr・クリニックと国内逃亡記
誰もが御存じ、エルビン・ジョーンズの思い出・よもやま話
大阪でエルビンのドラム・クリニックがあった
これ、見逃したら一生もんの後悔や!との事で早速行く事に(自分はベースだけどね)
着いた場所が「喫茶&バー」のような狭い店!?
10坪あるかないかのスペースにマル椅子がゴッチャに置かれて、その他は立ち見席。
店の正面奥に3点セットが置いてあるだけ(スネア・ハイハット・バスドラのみ)
「オイオイ、まじですか?ホントにエルビンくるのか?」って嫌な予感も。
予定時間になった時にエルビンが普通に店の扉から入ってきた、まるで常連客ww
何やら英語で喋りながらドラムの椅子に座り上記のような笑顔で一礼‥・怖いし。
私も判らぬ英語ながら必死でエルビンの説明を解読しつつワクワク感。
まずはブラシの使い方から・・・
おもむろにスネアで4ビートを刻みだし、2,4とハイハットを踏む。
一瞬でその場はニューヨーク! イヤ、ほんと
が、しかし、よく見るとブラシはスネアよりハミダシまくり
それも半分どころか70%ぐらい飛び出したりしてるし。音も決して良くない時も・・・
「ガッ、サ~~ッ」って鳴ってるwww
「エ~ッ、こんなんでええんか?」と、プチショック。
次に片方をスティックに持ち替えハイハットで4ビートを刻み出す
が、また、よく見るとスティックのケツで叩いてみたりハイハットの当たる場所が
バラバラで音質が揃ってないうえ、レガートも入れてないので余計に目立つ。
隣に座っているドラマーの奴も同じ様なある種の不安を感じてる筈だが
「エルビン様を疑うなんて出来る訳ない」といった信者の目で見つめている。
そこから暫く1~2分だろうか、当方の戸惑いを無視したエルビンのソロが続いた。
この状況での2分は長く感じる筈だが終わる頃には全く違う空気に。
「アレ?やっぱりNYのスタジオか?」に持っていかれた。最後は圧巻のソロ!
一瞬の間が空き、その場は当然の大拍手!
さて、その場のお客の一番のお楽しみは何と言っても演奏後の質問会、
で、最初の質問者
「あなたのレコードを色々聴いているが曲によってはリズムがハマってない時が
ありますよね? あ~いうのってどう考えられていますか?」
何と最初からメガトン級の質問をぶつけてきよった、怖いわコイツ!
素人かプロか判らんけれど、ワシならよう聞かんわ。汗出るし。
それに対するエルビンの答えは
「あ~、それは大した事ではないんだ。曲には流れってもんがある
その時のムーブは変化するもんだ。何よりスイングしてなきゃ
他の演奏者も乗り切れないんだ、判るだろ」
う~ん、これさすがの模範解答かな?
ま、エルビンが言うから通用する回答でもあるが他のヤツならつっ込まれるわな。
実際、先ほどのDrソロは回答どおりの演奏だったし・・・
その後の質問は他愛もない事やどうでもいい内容が多かったが
一つ、エルビンに「呼吸法」を聞いていたなかなかの輩もいましたね。
まず、エルビン・ジョーンズとアート・ブレイキーは
真似をしないように忠告したいドラマーである事でしょ
この二人は単に黒人ドラマーという事ではなく完全な「土人ドラマー」では
なかろうか?と思いたくなるほど「血の違い」を感じます。
また二人とも今風のハイ・テクニックプレイヤーではないんだが
テクニックで評価をする次元のプレーヤーではないって事です。
他人が試しに同じフレーズを叩けば9割は失敗したような音になり恥をかくだろうね
メンバーからもクレームが出るだろうし・・
つまり、完全に真似が出来ない、とも言えるし難し過ぎる。
天才プレーヤーの共通点は「他人は真似をしない事」、恥をかきますし
あなたが下手くその芋レベルに聴こえる結果になるから。
コルトレーンのあの「鼻歌」ような奏法も無闇に真似しないようにね
あれ、相当なレベルの世界ですし、下手くそが吹けばホントにド下手な演奏になる。
次回は逃亡中のエルビンの話でも
何から「逃亡」って? そりゃ警察からですよ当然。